IGPIレポート 共創

IGPIレポート 共創 2026年号vol.41

自己変革プロジェクトAiGPI ―― 「人間力×AI」で挑む新しい経営プロフェッショナル像

IGPIは「人間力」と「実行力」で勝負してきた。この軸自体は変わらないが、その中身は生成AIの登場によって書き換わりつつある。コンサルティング会社に限らず、クライアントの事業会社においてもAI活用は「当然」のこととなっており、従来と同じやり方では同じ水準のアウトプットすら維持できない。その危機感から、「人間力(経営プロ力)×AI」を前提とした自己変革プログラムとして立ち上げたのが、全社AIトランスフォーメーション「AiGPI」である。

図表

AiGPIでは、AI変革の目的を三つに整理している。第一に、AIで全社員の生産性を高めること。第二に、既存のコンサルティング事業の競争力を強化すること。第三に、AI前提の新しいサービス・ビジネスを創出し、成長させることである。これらを「戦略」「人・組織」「業務プロセス」「ルール」「データ/システム」という経営の基盤ごと組み替えることで、単なるツール導入ではなく、人間の「問いを立てる力」「決断し責任を取る力」「組織・人を動かす力」と、AIの「情報収集力」「論理構成力」「分析力」を掛け合わせた新しい経営プロフェッショナル像への転換を図っている。
進め方の特徴は、「導入」ではなく「融合」にこだわる点である。まず経営層自らがAIを使い倒す「AI体感者」となり、自身の案件をAI前提に組み替える「AI牽引者」、さらに組織ぐるみで働き方を変える「AI変革者」へと移行していくロードマップを描いた。社内でのChatGPT Enterprise等の利用における日次アクティブ率は、全社で7割を超える水準にある。人事部門を中心に、評価制度や人材開発にもAIの要素を組み込み、職位ごとに求めるAI活用レベルを明確化した上で必須研修として設計し、現場全員のAIネイティブ化を進めている。
現場ではすでに、AIエージェントを前提とした業務設計が動き始めている。Factbook自動生成やスライド・議事録作成、M&Aエージェントを開発し、コンサルタントはより本質的な論点設定や意思決定支援に時間を振り向けている。また、経営陣一人ひとりの知見を学習させた「経営者クローン」によって、構想の壁打ちや提案書レビューを効率化・高度化する試みも進めている。クラウドの汎用大規模言語モデル(LLM)に加え、機密性や技術進化・ガバナンスをにらみながら議論を重ねているオンプレミスLLMを使い分け、「IGPIらしいAI」の実装を進めている。
こうした取り組みのゴールは、調査・分析・資料作成時間の削減だけではない。発想支援や論点整理、前提検証、説明支援をAIに任せることで、人間がこれまで以上に早く・深く、価値判断や意味づけ、ステークホルダーの納得感醸成といった、本来は経営層が最も時間を割くべき仕事に集中できるようにすることこそが、AiGPIの狙いである。

図表

AiGPIの影響は、IGPI社内だけにとどまらず、クライアントへの価値提供にも及んでいる。すでに一部のクライアントでは、AI役員の導入やM&Aエージェントの活用が始まっており、取締役会AIについても提案・検証を進めている。こうした取り組みを通じて、クライアントの取締役会・経営会議といった意思決定レイヤーに深く関与し、経営のスピードと質の双方を高めるAX(AIを梃子にした組織変革)を共同で進めていきたいと考えている。

図表

DX/AIに関わってきた立場からすれば、今はAIを梃子に組織変革=AXを起こす絶好のタイミングである。AIという大きな環境変化から目を背けるか、それとも真正面から向き合い、自らの在り方を作り変えるか。その選択が、経営の成否を分けていく。IGPIは、まず自分たちが変わることで、クライアント企業のAXに伴走するパートナーであり続けたい。AiGPIは、IGPIがその変化の先頭に立つという覚悟を社内外に示すプロジェクトである。

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